坂上教授インタビュー記事 日本における戦後の五輪招致について
2022/02/10
スポーツ史、スポーツ文化論が専門の坂上康博教授が、日本のオリンピック招致活動や開催について述べたインタビュー記事が2022年1月25日発行 東京新聞朝刊に掲載されました。
大詰めをむかえる札幌五輪招致
コロナ禍で強行開催された東京オリンピック・パラリンピックが閉幕して4カ月余りが経ちました。そんな中、すでに8年後の札幌冬季五輪の招致が大詰めを迎えています。
坂上教授によると、戦後、日本の各都市がオリンピック招致や開催準備に費やしてきた時間は延べ59年近くになるといいます。(1952年に東京が立候補してから、2021年東京大会が終わった9月までの69年4カ月のあいだ)
1964年東京大会・1972年札幌大会開催当時と、今回の2020東京大会、2030年に冬季招致活動を行っている札幌五輪との違いはあるのでしょうか。政治と日本オリンピック委員会の関係性などを踏まえて考察しています。
五輪に依存する日本
なぜ、日本は五輪に依存しているのでしょう。開催都市には何か思惑があるのでしょうか。現在招致を行っている札幌市が作成した概要案を見てみましょう。
北海道札幌市は「大会がもたらすまちの未来」として大会ビジョンを“札幌らしい持続可能なオリンピック・パラリンピック~人と地球と未来にやさしい大会で新たなレガシーを~としています。また、既存の施設の更新・改修のみを行い新規の施設は設けないと計画しています。(北海道・札幌 オリンピック・パラリンピック冬季競技大会 概要(案)
https://www.city.sapporo.jp/sports/olympic/taikaigaiyouann.html, 参照)
五輪招致は経済や観光振興の方策としてどれだけ有効なのでしょうか。
オリンピックと商業主義
また、今大会を例に見ていくと “Tokyo 2020”やJOCスローガンである“がんばれ!ニッポン!”などのオリンピック用語をはじめとし、オリンピックを想起させる用語の使用も制限されており、協力金を支払っている公式スポンサーのみがオリンピック関連の知的財産を使用できることになっています。(大会ブランド保護基準Version5.0 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会ウェブサイト
https://www.tokyo2020.jp/image/upload/production/ujqwxe8cojnsrmewsbfa.pdf, 参照)
このようにスポンサーの利益が優先され、オリンピックの規模と共に商業主義が拡大している中、世界では経済効果等への疑問から招致から撤退する都市が相次いでいます。五輪は招致を繰り返す国(都市)で開催していくしかないのでしょうか。インタビューの中で坂上教授は「そんなことはない」と明確に否定し、新たな提案をしています。
坂上教授のインタビュー記事は、以下の東京新聞TOKYO Webからもご覧になれます。
「『五輪中毒』の日本 招致・開催に費やした期間は戦後延べ59年間 症状深刻、処方箋は・・・」 2022年1月29日」